折々の記 18

 かもめ


   夕方にカモメを見るために海岸まで歩いています。 見るのは港やテトラポットに並んでいるウミネコではなく、頭上を飛んでくるセグロカモメです。
  水平線に日が沈むころ、ねぐらに帰るために両翼をピンと広げた白い体が低空で飛んできて頭の上をゆったりと通り過ぎていきます。ときどき目があったりすると、わざとスレスレを飛んでみせたりもします。    二、三羽で飛ぶときもあれば一羽のときもあります。ウミネコは海の上を飛ぶのに対して、セグロカモメは防波堤に沿って飛んでいきます。

   昨日は低気圧が通過したあとに南西の風が強く吹きました。ねぐらに戻るには強い逆風です。そんな中、羽ばたきもせず翼をひろげてバランスをとりながら風上に向かって進んでいました。 それも 5 羽ほどが列になってやってくるのです。その近くでは、カラスやムクドリが羽根をバタつかせながら風に飛ばされた洗濯物のように流されていきます。どう見てもセグロカモメは飛ぶための高い技術を持っているのです。

  カモメのなかでもウミネコは大きな群れで暮らしています。テトラポットに並んでとまり、順番に河口にやってきては水浴びをします。潮のついた体や羽根を洗うために川の水を浴びているのでしょう。ウミネコは群れでいてもカラスがその場所をとろうと威嚇すると素直にゆずります。その点セグロカモメは一羽でいることが多く、カラスが寄ってくれば威嚇して追っ払います。カモメの仲間でも種類によって性質がずいぶん違うようです。